研究紹介

心不全

心不全の病態生理と新規治療に関する研究

超高齢化社会に突入する中で、心不全患者数は増加の一途をたどっており、従来の治療を行っても心不全を繰り返す難治性の患者さんが増加しています。当院ではこれまでも心不全患者さんを対象にした多施設臨床研究(CONFIRM ADHF試験、J-MELODIC研究)を主導し、色々な観点から心不全治療を研究し、論文発表を行っています。今後も最新の薬や治療を早期に導入し、既存の心不全患者のデータベースと比較検討を行い、心不全の病態生理のさらなる解明と新規治療に関する研究を継続的に行っていきます。

心不全診療における新規バイオマーカーの探索的研究

急性心不全患者の発症数は、高齢化社会、生活スタイルの欧米化、慢性心不全患者の増加などの様々な要因により、着実に増加しています。しかしながら、心不全の病勢を反映するバイオマーカーとしてNa利尿ペプチド以外のバイオマーカーが無いため、新規バイオマーカーの開発・同定が強く求められています。私たちのグループでは、患者さんの負担が少なく、頻回に得られる尿サンプルなどを用いた、心不全診療に活用できる新たなバイオマーカーを模索しています。具体的には尿中の電解質、アルブミン量、蛋白発現量や生体代謝産物などの指標を解析し、心不全診療における有用性を探索しています。

次世代の心不全診療に関する探索的研究

心不全診療はこれまでの既成の概念を覆すタイミングに直面していると考えています。今後、対面診察のみではなく、遠隔診療やAI診療など、心不全診療のデジタルトランスフォーメーションを目指しています。今まで一般的に行われていた項目(体温やSpO2など)を見直し、心不全患者さんにおける24時間SpO2測定や体表温測定などから次世代の医療に活用可能なデータの収集を行い、そのデータを用いて、AIによる非対面式の心不全診療などに向けた様々な検討を試みています。

心エコーによる化学療法後の心機能障害の早期発見

近年、悪性腫瘍に対する薬物治療の進歩に伴い、化学療法、分子標的療法、免疫療法などにより心機能障害を発症する患者さんが増加しています。一般的に用いられている心エコーの指標(LVEF:左室駆出率)が正常でも、潜在的に心機能が低下している患者さんがいることが報告されています。また、そういった患者さんを早期に発見し治療介入をすることで、心機能低下が予防できる可能性があることが報告されています。当科では、最新の心エコー技術(2D、3Dスペックルトラッキングなど)を用い早期に心機能障害を見つけるべく研究を行っています。

 

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